事務所はどこにする?自宅・賃貸・レンタルオフィスで変わる書類
届出書には「営業の本拠となる事務所」の所在地を書き、その場所を使う権利があることを示す書類を付けます。事務所といえる場所がないときは、住所が事務所の代わりになります。持ち家か、家族名義か、賃貸か、レンタルオフィスかで、そろえる書類と、届出のことが伝わる相手が変わります。
届出の「事務所」とは
映像送信型性風俗特殊営業の届出書は、事務所の所在地を管轄する公安委員会に出します(風営法31条の7第1項)。実際の提出先は、事務所の所在地を受け持つ警察署です(施行規則1条1項)。
警察庁の解釈運用基準によると、ここでいう「事務所」は、その営業の営業活動の中心となる一定の場所のことです。事務所が複数あるときは、その中心となる事務所が当たります。事務所といえる場所がないときは、営業をする人の住所がその代わりになります(第18中3(2)・4(3))。届出書の様式(別記様式第31号)の備考にも、事務所のない人は住所を書くとあります。
事務所の場所で決まることは、主に次の4つです。
- 届出書を出す警察署(大阪府内なら、事務所の所在地を受け持つ警察署の生活安全課)
- 届出確認書を備え付けておく場所(風営法31条の7第2項で31条の2第5項を準用)
- 届出確認書の「事務所の所在地」の欄に載る住所(建物の名前と、建物の中の位置まで)
- そろえる書類と、届出のことが伝わる相手
なお、店舗型の営業とちがい、映像送信型には「この地域では営業してはならない」という決まり(風営法28条1項)は準用されていません。風営法の上では、住宅地にある部屋でも事務所にできます。ただし、賃貸の契約やマンションの管理規約で、部屋の使い方が決められていることがあります。
事務所を使う権利を示す書類
届出書には、事務所の使用について権原(使う権利)を有することを疎明する(示す)書類を付けます(添付書類の内閣府令13条1号ロ)。解釈運用基準は、この書類を、所有権や賃借権など、その場所の使い方を最終的に決められる権利に関するものとしています(第18中7(2)で第12中13(2)を参照)。そこに挙げられている書類と、場所ごとの考え方をまとめると次のとおりです。
| 事務所にする場所 | 主な書類 | 届出の |
|---|---|---|
| 自分名義の持ち家 | 建物の | 書類を |
| 家族名義の | 建物の | 名義人のご家族 |
| 自分で | 建物の | 承諾書を |
| 又貸し | 建物の | 所有者と、間の貸主 |
| レンタルオフィス・シェアオフィス | 契約の | 運営会社 |
持ち家・賃貸・又貸しの欄は、解釈運用基準に挙げられた例です。家族名義の家とレンタルオフィスの欄は、解釈運用基準に直接の例はなく、「使い方を最終的に決められる人の権利」という考え方から整理したものです。実際にどの書類を求められるかは、提出先の警察署に確認してください。建物の登記事項証明書は、手数料を払えば誰でも法務局で取れます(不動産登記法119条)。
自宅を事務所にするとき
自宅で配信していて、ほかに場所がない場合は、自宅が事務所になります。持ち家なら書類は少なくてすみますが、次の点を考えておく必要があります。
- 届出確認書の「事務所の所在地」の欄に自宅の住所が載ります。確認書の写しを誰かに出すと、自宅の住所も伝わります。
- 情報公開の請求で、事務所の所在地の欄が開示の対象とされた例があります。埼玉県の答申第118号(2007年)では、事務所の欄に「自宅」と書いた届出について、住所の欄まで開示すべきと答申されました(その後の最終決定は確認できていません)。大阪府で同じ判断になるとは限りません。くわしくは身バレと情報公開の記事を見てください。
- 賃貸の部屋は、契約書の「使用目的」の欄(住居専用など)によって、貸主の承諾がいるかどうかが変わります。契約書の写しで足りるか、承諾書がいるかは、契約の中身と警察署の判断しだいです。
貸主の承諾を得ずに、契約で決められた使い方と違う使い方をすると、届出とは別に、契約のトラブルになるおそれがあります。契約のトラブルについては、弁護士に相談してください。
レンタルオフィスと「住所だけ借りるサービス」
レンタルオフィスを実際に営業の中心として使うなら、そこを事務所として届け出られます。その場合、事務所の欄に自宅の住所は載りません。ただし、届出書の住所の欄と住民票の写しには、自宅の住所が載ります。住所を出さないためだけに、使っていない場所を事務所と書くと、うその届出になるおそれがあります(風営法53条6号)。ただし、この届出に使えるかどうかは、契約する前に確かめておく必要があります。確かめておきたいことは次のとおりです。
- 映像送信型性風俗特殊営業の届出の事務所として使ってよいか(利用規約で禁止されていないか)
- 使用承諾書を出してもらえるか。運営会社が建物を借りている場合、所有者の承諾まで必要になるか
- 届出確認書を事務所に備え付けておけるか(郵便の受け取りだけの契約や、席が毎回変わる形ではないか)
- 住所の書き方(建物の名前と部屋番号)。確認書には建物の中の位置まで載ります
- 契約期間。届出のあとで解約して事務所が変わると、10日以内に変更届がいります
郵便物の受け取りや住所の表示だけに使う、いわゆるバーチャルオフィスには注意が必要です。解釈運用基準のいう「営業活動の中心となる一定の場所」に当たらないとして、事務所と認められないことがあります。契約する前に、運営会社と提出先の警察署に確認してください。承諾書がいるときの文面は、弊所でお作りすることもできます。
看板やはり紙を出すときの地域の決まり
事務所の場所そのものに地域の制限はありませんが、広告物には決まりがあります。映像送信型の営業をする人も、店舗型と同じ広告の規制を受けます(風営法31条の8第1項で28条5項を準用)。
- 学校・図書館・児童福祉施設などや、大阪府の条例で決めた施設(病院・診療所、公民館、都市公園など)の敷地の周り200メートルでは、看板やはり紙などの広告物を出せません(28条5項1号イ、大阪府風営法施行条例10条)。
- 大阪府では、上の範囲のほか、都市計画法の商業地域ではない地域(住宅地など)でも、広告物を出せません(同条例13条3項)。
- 人の住まいにビラやパンフレットを配ったり、郵便受けに入れたりしてはいけません(28条5項2号)。
- 広告を制限される地域でビラを配ること、その外でも18歳未満の人にビラを配ることはできません(28条5項3号)。
これに違反すると、100万円以下の罰金の対象になります(風営法54条2号)。事務所の建物の外に、サイトの名前などを書いた看板や表示を出すときは、この決まりに当たらないか確かめてください。また、インターネット上の広告や宣伝でも、18歳未満は客になれないことを見やすく表示する決まりがあります(31条の8第1項で28条9項を準用、施行規則62条1項・47条1項)。
事務所を移すときの手続き
事務所の所在地は届出事項なので、移したときは、移した日から10日以内に変更届(別記様式第27号)を出します(施行規則59条で42条2項を準用)。変更届には、今の届出確認書と、新しい事務所を使う権利を示す書類を添えます(添付書類の内閣府令13条3号)。大阪府の手数料は1,500円です(大阪府風営法施行条例 別表第三)。
大阪府の外に事務所を移すときは、移った先の都道府県の公安委員会に変更届を出します(風営法31条の7第2項で31条の2第2項を準用)。レンタルオフィスの契約が終わる日や、引っ越しの日が決まったら、早めに準備してください。くわしくは変更届・廃止届の記事を見てください。
よくある質問
Q事務所がなく、自宅で配信しているだけです。どう書けばいいですか?
警察庁の解釈運用基準では、事務所といえる場所がないときは、営業をする人の住所が事務所の代わりになるとされています。届出書の様式の備考にも、事務所のない人は住所を書くとあります。その場合も、住所の場所を使う権利を示す書類(持ち家なら登記事項証明書、賃貸なら登記事項証明書と契約書の写しなど)がいります。
Q賃貸の部屋を事務所にすると、大家さんに知られますか?
契約書の写しで足りれば、大家さんに書類を頼む必要はありません。貸主の承諾書がいる場合は、承諾書に使い道を書くので、貸主に届出のことが伝わります。どちらになるかは契約の中身と警察署の判断によるので、まず契約書の「使用目的」の欄を確かめてください。
Qバーチャルオフィスの住所で届出できますか?
解釈運用基準では、事務所は営業活動の中心となる一定の場所とされています。郵便の受け取りや住所の表示だけに使う場所は、事務所と認められないことがあります。契約する前に、運営会社と提出先の警察署に確認してください。
Q大阪府の外のレンタルオフィスを事務所にしてもいいですか?
届出は事務所の所在地を管轄する公安委員会に出すので、府外の事務所なら、その都道府県の警察署に出すことになります。住んでいる場所と事務所の都道府県が違っても、届出先は事務所の場所で決まります。手数料の額や出し方は、届出先の都道府県の警察署で確認してください。
書類づくりと
大阪府内の警察署に出す映像送信型の届出を、1件74,000円(税込)でお引き受けします。警察署の手数料3,400円は別です。報酬は届出確認書をお渡ししてからの後払いです。確認書が出なければ報酬はいただきません(ご都合で取りやめた場合や、事実と違うことをお伝えいただいていた場合などを除きます)。
参考にした資料
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov)28条・31条の2・31条の7・31条の8・54条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov)1条・42条・47条・59条・62条、別記様式第31号・第33号
- 風営法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(e-Gov)12条・13条
- 警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)第12中13・第18中3・4・7
- 大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例 10条・13条・別表第三
- 不動産登記法(e-Gov)119条
- 埼玉県 情報公開審査会 答申第118号(平成19年8月20日)
記事の内容は更新日時点のものです。手続きの細かい運用は、申請先の警察署・役所で確認してください。
