派遣型の従業者名簿と、年齢・国籍・在留資格の確認
無店舗型の営業では、事務所ごとに従業者名簿を備え、働く人全員を載せます(風営法36条)。お客様に接する業務をする方は、日本人の方も含めて、生年月日と国籍を、本籍の都道府県名が書かれた書類などで確かめて記録します(同法36条の2)。外国籍の方は在留資格も確かめ、この仕事に就くことが認められていない在留資格の方は働けません。
従業者名簿:事務所ごとに、働く人全員
無店舗型性風俗特殊営業を営む人は、事務所ごとに従業者名簿を備え、その営業の業務に従事する人について、次のことを書きます(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)36条、添付書類等を定めた内閣府令(府令)25条)。
- 住所・氏名
- 性別・生年月日
- 採用年月日・退職年月日
- 従事する業務の内容
警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日)は、名簿に載せるのは雇用契約のある労働者に限らず、業務の一部を委託する場合は、その業務に携わる人も載せるとしています(第35中1)。業務委託で働く方も名簿に載せます。
2号(いわゆる通信販売型)も、働く人全員が名簿の対象です。名簿は、その人が退職した日から3年を経過する日まで備えておきます(施行規則106条)。電子データで備えることもできます(同107条)。名簿を備えない、必要なことを書かない、うそを書くと、100万円以下の罰金の対象です(法54条3号)。
お客様に接する方は、年齢と国籍を書類で確かめます
お客様に接する業務に就いてもらうときは、その前に、次のことを決められた書類で確かめます(法36条の2第1項)。
- 生年月日
- 国籍
- 外国籍の方は、在留資格・在留期間の満了日・資格外活動の許可の有無とその内容(特別永住者の方は、特別永住者であること)
生年月日と国籍は、日本人の方についても確かめる決まりです(基準 第35中2(2))。「お客様に接する業務」とは、お客様から代金を受け取ることのほか、1号(いわゆる派遣型)ではお客様の体に触れる役務、通信販売型ではお客様に物品を配達することなどです(基準 第20中5(1))。
確かめたら記録を作ります。名簿に確かめた事項と確かめた日を書き、確かめに使った書類の写しを名簿に添えて保存します。電子の名簿なら、書類を読み取った画像を一緒に記録します。記録も、退職した日から3年を経過する日まで保存します(施行規則108条)。確かめないと100万円以下の罰金(法54条4号)、記録を作らない・うその記録を作る・保存しないと100万円以下の罰金です(同条5号)。
確かめに使える書類
使える書類は、府令26条で決まっています。
| 区分 | 使える |
|---|---|
| 日本国籍の方 | 住民票記載事項証明書 |
| 外国籍の | 旅券 |
| 資格外 | 証印の |
| 特別永住者の方 | 特別永住者証明書 |
日本国籍の方で大事なのは、本籍の都道府県名が書かれた書類であることです。ICカードの運転免許証は、本籍がカードの面に記載されず、ICチップに記録されます(道路交通法93条1項・93条の2、同法施行規則19条1項・19条の2)。マイナンバーカードには、本籍はもともと記載されません(番号法2条7項、同法施行令1条)。そのため、運転免許証やマイナンバーカードだけでは足りません。基準も、児童扶養手当証書は本籍が記載されていないので当たらない、としています(第35中2(3))。
表のとおり、資格外活動の許可がある方を確かめる書類も決められていますが、その許可では、この仕事に就くことはできません(次の節)。
外国籍の方:この仕事に就けない在留資格があります
入管法別表第一の在留資格(留学・家族滞在・技術・人文知識・国際業務など)の方が、その在留資格の活動以外で働くには、資格外活動の許可がいります。しかし、資格外活動の許可で認められる活動からは、無店舗型性風俗特殊営業に従事するものが除かれています(出入国管理及び難民認定法施行規則19条5項1号)。出入国在留管理庁の資格外活動許可の要件(一般原則)にも、同じことが挙げられています。基準も、資格外活動として風俗営業や性風俗関連特殊営業に従事することは許可されない、としています(第35中2(2)ア)。
この仕事に就くことが認められていない在留資格の方(留学・家族滞在などで、資格外活動の許可を受けて働く方を含む)や、在留資格がない方(特別永住者の方は除きます)、在留期間を過ぎている方は、働くことができません。就労の制限がないのは、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者(入管法別表第二の在留資格)と、特別永住者の方です(基準 第35中2(2)ア・イ)。
こうした方を働かせると、不法就労助長罪(入管法73条の2第1項)の対象です。今の刑は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又は併科で、令和9年4月1日からは5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科に引き上げられます。在留資格の範囲外であることや、資格外活動の許可を受けていないことを知らなかったとしても、過失がないときを除き、処罰を免れる理由になりません(同条2項)。大阪府公安委員会の処分の基準でも、無店舗型でお客様に接する業務に従事させていた場合は、最も重い区分の目安です。
18歳未満の方は、働くこともお客様になることもできません
無店舗型の営業では、18歳未満の方をお客様に接する業務に従事させてはいけません。18歳未満の方をお客様にすることもできません(法31条の3第3項)。
18歳未満の方を従事させると、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又は併科の対象です(法51条1項6号)。年齢を知らなかったことは、過失がないときを除き、処罰を免れる理由になりません(同条2項)。大阪府の処分の基準でも、最も重い区分の目安です。
お客様の年齢は、派遣型では、18歳未満と疑われるときに確かめることが求められています。通信販売型で郵便や宅配で届ける場合は、申込みの段階で18歳以上であることの証明を受けるなどの方法をとり、年齢を自分で申告してもらうだけでは足りません(基準 第20中5(2))。18歳未満の方をお客様にしたことに直接の罰則はありませんが、公安委員会の指示の対象で、指示に従わないと営業停止の対象になります。
紹介料の支払いと、拘束的な行為の禁止
派遣型では、働こうとする方の紹介を受けたとき、紹介した人やほかの人に、紹介の対価としてお金などを渡してはいけません(法31条の3第1項→28条13項)。令和7年6月28日に施行された改正で加わった決まりです。基準は、紹介料・顧問料など名目を問わず、第三者を通した支払いや、2回目以降の支払いも含まれるとしています(第20中3→第19中5)。違反は、6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又は併科の対象です(法53条7号)。
また、お客様に接する業務の方に、辞めたらすぐに残りを完済することを条件に、支払能力に見合わない高額の債務を負わせることや、そのうえでその方の旅券・運転免許証などを預かることも禁じられています(法31条の3第1項→18条の2第1項)。
名簿と記録は、立入りで確かめられることがあります
派遣型の事務所・待機所は、警察職員が立ち入ることができる場所です(法37条2項3号)。立入りは、法律の施行に必要な範囲で行うもので、立ち入るときは身分証明書が示されます。事務所に備えておく決まりの書類(届出確認書・従業者名簿・年齢や国籍の確認の記録)も、確かめられることがあります。立入りを拒むと罰則があります(法54条7号)。なお、犯罪の捜査は、この立入りとは別の手続きです。報告や資料の提出の求めは、派遣型・通信販売型とも受けることがあります(法37条1項)。
届出のときに、働く方の身分証の写しや名簿を添える決まりはありません(府令12条)。弊所に働く方の身分証を送っていただく必要もありません。雇用契約にするか業務委託にするかの判断や、社会保険の手続きは、社会保険労務士の業務です。働く方との契約のトラブルは、弁護士に相談してください。
よくある質問
Q業務委託で働く方も、従業者名簿に載せますか?
載せます。警察庁の解釈運用基準は、名簿に載せるのは雇用契約のある労働者に限らず、業務の一部を委託する場合は、その業務に携わる人も載せるとしています(第35中1)。お客様に接する業務の方なら、生年月日と国籍の確認と記録もいります。
Q働く方の生年月日と国籍の確認に、運転免許証のコピーは使えますか?
生年月日と国籍の確認には、運転免許証だけでは足りません。府令26条は、日本国籍の方について、本籍の都道府県名が書かれた書類を求めていて、ICカードの運転免許証は本籍がカードの面に記載されないためです。パスポートや、本籍の都道府県名が書かれた住民票記載事項証明書などで確かめます。
Q留学生の方は、資格外活動の許可があれば働けますか?
働けません。資格外活動の許可で認められる活動から、無店舗型性風俗特殊営業に従事するものは除かれています(出入国管理及び難民認定法施行規則19条5項1号)。この仕事に就くことが認められていない方を働かせると、不法就労助長罪(入管法73条の2)の対象です。
Q名簿や確認の記録は、いつまで保存しますか?
その方が退職した日から3年を経過する日までです(風営法施行規則106条・108条)。電子データで備えることもできます(同107条)。
Q届出のときに、働く方の身分証の写しを警察署に出しますか?
届出の添付書類に、働く方の身分証の写しや名簿は含まれていません(府令12条)。名簿と確認の記録は、営業する人が事務所に備えて保存するものです。ただし、警察署から追加で資料を求められることはあります。
書類と事務所の平面図づくり、
大阪府内の警察署に出す派遣型の届出を、報酬88,000円(税込・事務所の平面図を含む)でお引き受けします。別の場所に待機所を設けるときは1か所22,000円、警察署の手数料3,400円は別です。報酬は届出確認書をお渡ししてからの後払いです。確認書が出なければ報酬はいただきません(ご都合で取りやめた場合や、事実と違うことをお伝えいただいていた場合などを除きます)。
参考にした資料
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法・e-Gov法令検索)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)
- 警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)
- 出入国管理及び難民認定法(入管法・e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則(e-Gov法令検索)
- 出入国在留管理庁 資格外活動許可について
- 道路交通法(e-Gov法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov法令検索)
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法・e-Gov法令検索)
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令(e-Gov法令検索)
- 大阪府警察 処分基準(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)
記事の内容は更新日時点のものです。手続きの細かい運用は、申請先の警察署・役所で確認してください。
