女性用風俗の開業の届出:対象になる営業と必要書類
女性のお客様のもとへ働く方を派遣する、いわゆる女性用風俗も、風営法の条文の上では、男性のお客様向けと同じ無店舗型性風俗特殊営業(1号)の届出の対象です。届出の書類も、届け出たあとに守る決まりも同じです。お1人で始める場合の事務所・平面図・承諾書と、業務委託で働く方の確認を中心にまとめます。
女性のお客様向けも、条文の上では1号の届出の対象
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)2条7項1号は、無店舗型性風俗特殊営業の1号を、人の住居や宿泊の施設で「異性の客」の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、その役務を行う者を、客の依頼を受けて派遣することにより営むもの、と定めています。条文は、お客様の性別を男性に限っていません。
届出に添える「営業の方法」(様式第28号)の備考も、書く内容を「異性の客に接触する役務の種類」としています。このため、男性の働く方が女性のお客様のもとへ派遣される形も、条文の文言の上では1号に当たり、男性のお客様向けと同じ届出の対象です。
手続きも同じです。事務所の場所を管轄する警察署へ、営業を始める日の10日前までに届出書を出します(風営法31条の2第1項、施行規則52条2項)。許可ではなく届出で、審査で許可・不許可が決まる手続きではありません。届出のあとに守る決まりも、男性のお客様向けと変わりません。
対象になるかの考え方
「性的好奇心に応じて」は、お客様の性的な感情に応えて、という意味です。警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日。以下「基準」)は、通常のマッサージなどはこの営業に当たらないとしています(基準 第6中1(3)・第5中2(1))。届出がいるかどうかは、呼び名ではなく、サービスの中身と営業の形で決まり、最終的には提出先の警察署の判断です。
同性のお客様向けの扱いは、公式の資料で確かめられていません。届出をせずに始めてよいと決めつけず、提出先の警察署に確認してください。
派遣先には、お客様の住まいのほか、一般のホテル・旅館も含まれます(基準 第6中1(2))。一方、レンタルルームなどの施設と提携して、営業のための部屋をあらかじめ確保しておく形は、派遣型ではなく店舗型の営業とされます(基準 第5中2(2))。大阪府では、この種類の店舗型の営業は府内のどこでも新しく営むことはできません(大阪府風営法施行条例11条1項1号)。お客様の住まいや、お客様が泊まる一般のホテルに派遣する形は、派遣型です。
1人で始めるとき:事務所・平面図・承諾書
届出は、その営業を営む人ごとに、種類(1号・2号)ごとに1つです(法31条の2第1項、基準 第18中3(1))。お1人で予約を受けて出向く形でも、届出の対象になることがあります。営む人が1人であることで扱いが変わるとする定めは、法令にも警察庁の基準にも見当たりません。人数ではなく、サービスの中身と営業の形で決まります。どのように依頼を受け、どこへ出向くのかを整理して、提出先の警察署に確認してください。届出をせずに始めてよいかを、弊所が決めることはできません。
事務所は、営業活動の中心になる場所です。事務所といえる場所がないときは、住所が事務所の代わりになります(基準 第18中3(2))。自宅のほかに事務所といえる場所がなく、住所で届け出る場合は、事務所の平面図に、営業に使う部分を特定して示します(府令12条1号ハ)。部分を特定するのは、警察職員の立入りの対象となる範囲を明確にするためです(基準 第18中7(2))。住所だけ借りるサービスは、事務所と認められないことがあります。
事務所には、使ってよいことを示す書類(使用権原の書類)を付けます。場所ごとの例は次のとおりです(基準 第18中7(2)・第12中13(2))。
| 事務所にする場所 | 使用権原を |
|---|---|
| ご本人名義の持ち家 | 登記事項証明書など |
| ご家族名義の家 | 登記事項証明書と、 |
| 賃貸の部屋 | 登記事項証明書と、 |
| 又貸しの部屋 | 建物の |
承諾書は、この届出の事務所として使うことへの承諾なので、貸主やご家族には届出のことが伝わります。働く方に依頼を待ってもらう部屋(待機所)を別に設けるなら、その場所も届出書に書き、待機所の平面図と使用権原の書類を付けます。
業務委託で働く方の名簿と確認
働く方と雇用契約を結ばず、業務委託で働いてもらう場合も、従業者名簿に載せます。雇用契約のある人に限らず、委託で業務に携わる人も載せる対象です(基準 第35中1)。名簿は事務所ごとに備え、住所・氏名・性別・生年月日・採用年月日・退職年月日・従事する業務の内容を書きます(法36条、府令25条)。退職の日から3年備え、電子データでもかまいません(施行規則106条・107条)。
お客様に接する業務をしてもらう方は、さらに、生年月日と国籍(外国籍の方は在留資格・在留期間の満了日・資格外活動許可の有無と内容)を決められた書類で確かめて記録し、退職の日から3年保存します(法36条の2、府令26条、施行規則108条)。日本国籍の方でも確認がいります(基準 第35中2)。本籍の都道府県名が書かれた書類(本籍入りの住民票記載事項証明書、パスポートなど)で確かめ、本籍が書かれていない身分証だけでは足りません。
18歳未満の方を、お客様に接する業務に就かせることはできず、18歳未満の方をお客様にすることもできません(法31条の3第3項)。就かせた場合は、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金(または両方)の対象で、年齢を知らなかったことは、過失がない場合を除いて理由になりません(法51条1項6号・2項)。
外国籍の方のうち、この仕事に就くことが認められていない在留資格の方(留学・家族滞在などで、資格外活動の許可を受けて働く方を含む)や、在留資格がない方(特別永住者の方は除きます)は、働くことができません。資格外活動の許可で認められる活動からは、無店舗型性風俗特殊営業に従事するものが除かれています(入管法施行規則19条5項1号、基準 第35中2(2)ア)。就労の在留資格の方も、その在留資格で認められた活動以外の仕事はできません(入管法19条1項)。働かせた側は、入管法の不法就労助長罪の対象になり得ます(入管法73条の2。現行は3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、または両方。令和9年4月1日からは5年以下・500万円以下)。
雇用にするか業務委託にするかの判断や社会保険は社会保険労務士、契約のトラブルは弁護士の業務です。
広告と受付所の決まり(大阪府で始めるとき)
- 届出の前は広告できない:届出書を出す前は、営業のサイトやSNSを含めて、広告や宣伝ができません(法31条の2の2第2項、基準 第20中2(1))。
- 18歳未満の表示:広告や宣伝には、18歳未満の方はお客様になれないこと(例:「18歳未満の方はご利用いただけません」)を見やすく書きます。インターネットの広告も対象で、原則として広告ごとに書きます(法31条の3第1項で準用する28条9項、基準 第20中2(3))。表示の文言は法令で決まっていません。
- 広告の方法:無差別に携帯電話へ広告メールを送ることや、卑わいな内容のバナー広告を、そうした内容と推測できないホームページに出すことは、清浄な風俗環境を害する方法に当たるとされています(基準 第19中2(5))。
- 看板・ビラ:派遣型は、大阪府内のどこでも看板・はり紙などの広告物を出せず、ビラやポケットティッシュも配れません(条例13条2項1号)。人の家のポストにビラを入れることは、郵便で送っても禁止です。
- 受付所:お客様と会って受付をしたり、写真で働く方を紹介したりする場所(受付所)は、大阪府内のどこにも置けません(条例11条2項)。電話やメールだけで依頼を受け、お客様が来ない事務所は、受付所に当たりません(基準 第18中3(5))。
決まりのくわしい内容は、広告の決まり(大阪府)と待機所と受付所(大阪府の決まり)にまとめています。
知られることが心配なとき
「知られません」とは言えません。分かっていることは次のとおりです。
- 風営法には、届出をした人の名前を公表する決まりはありません。届出をしたことを、警察から家族や勤め先に知らせる決まりもありません。
- 届出書は役所の文書なので、情報公開の請求があれば、どこまで出すかを役所が判断します。
- 賃貸の部屋やご家族名義の家を事務所にするときは、承諾書をもらう相手(貸主・ご家族)に届出のことが伝わります。
- 届出確認書は、貸主・広告の掲載先・お客様など、営業が法律どおりかを確かめる利益がある人から求められたら見せる決まりです(風営法31条の2第5項。写しで足りる場合があります)。
- 自宅を事務所にすると、営業に使う部分は警察の立入りの対象になります。立入りは、法律の施行に必要な範囲で行うもので、立ち入るときは身分証明書が示されます。届出確認書・従業者名簿・年齢や国籍の確認の記録も、確かめられることがあります。立入りを拒むと罰則があります。なお、犯罪の捜査は、この立入りとは別の手続きです(法37条2項〜4項)。
弊所にご依頼いただく場合、弊所からの郵便物は、中身が分からない封筒でお送りします。
よくある質問
Q女性用風俗も、男性のお客様向けと同じ届出ですか?
条文は「異性の客」と書いていて、お客様の性別を男性に限っていません。女性のお客様向けの派遣も、条文の上では男性のお客様向けと同じ1号の届出の対象です。広告・年齢の確認・従業者名簿などの決まりも同じです。
Q自宅で予約を受けて、1人で始めます。事務所はどこになりますか?
事務所といえる場所がないときは、住所が事務所の代わりになります。その場合、平面図で営業に使う部分を示し、その部分は警察の立入りの対象になります。賃貸の部屋やご家族名義の家なら、承諾書がいることがあります。お1人の形でも、人数で扱いが変わるとする定めは見当たらず、届出の対象になることがあります。届出をせずに始めてよいかは、提出先の警察署に確認してください。
Q業務委託で働く方も、従業者名簿に載せますか?
載せます。従業者名簿は、雇用契約のある人に限らず、委託で業務に携わる人も対象です。お客様に接する業務をしてもらう方は、生年月日と国籍(外国籍の方は在留資格など)を、決められた書類で確かめて記録します。
Q届出の前に、SNSで営業の告知をしてもいいですか?
できません。届出書を出す前は、営業のサイトやSNSを含めて、広告や宣伝ができません。違反すると100万円以下の罰金の対象です。
書類と事務所の平面図づくり、
大阪府内の警察署に出す派遣型の届出を、報酬88,000円(税込・事務所の平面図を含む)でお引き受けします。別の場所に待機所を設けるときは1か所22,000円、警察署の手数料3,400円は別です。報酬は届出確認書をお渡ししてからの後払いです。確認書が出なければ報酬はいただきません(ご都合で取りやめた場合や、事実と違うことをお伝えいただいていた場合などを除きます)。
参考にした資料
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)
- 警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)
- 大阪府警察 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等に基づく各種申請及び届出様式
- 大阪府 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則(e-Gov法令検索)
- 出入国在留管理庁 資格外活動許可について
記事の内容は更新日時点のものです。手続きの細かい運用は、申請先の警察署・役所で確認してください。
