デリヘルを法人化するときの届出:廃止届と新規届出の段取り
個人で届け出ている無店舗型の営業を会社で営むようにするとき、変更届では切り替えられません。この届出は、相続や会社の合併でも引き継げない決まりなので(警察庁の解釈運用基準 第18中1(2))、法人で新しく開始届を出し、個人の分は廃止届を出します。開始日と廃止日の合わせ方は、提出先の警察署に確認してから段取りを組んでください。
個人の届出は、法人に引き継げません
無店舗型性風俗特殊営業の届出は、その営業を「営む人」ごとに、種類(1号=いわゆる派遣型、2号=いわゆる通信販売型)ごとに出すものです(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)31条の2第1項、警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日)第18中3(1))。個人で営んでいた営業を会社で営むようにすると、営む人が個人から法人に変わります。
解釈運用基準は、性風俗関連特殊営業について、風俗営業の許可などと違い、相続・法人の合併・分割のいずれの方法でも、営業をほかの人に引き継ぐことは認められていないとしています(第18中1(2))。風営法にも、無店舗型の営業を引き継ぐ手続きは置かれていません。
変更届で直せるのは、氏名や住所、店名(呼称)、事務所の所在地、依頼を受ける方法や電話番号などの届出事項です(法31条の2第2項)。届出をした人そのものを入れ替えることはできないので、個人から法人への切り替えは、新しい開始届と廃止届の組み合わせになります。
切り替えのときに出す2つの届出
| 届出 | 出す人 | 期限 | 添える主な書類 |
|---|---|---|---|
| 営業開始届出書 | 法人(新しく営む人) | 法人と | 営業の |
| 廃止届出書 | 個人( | 個人の | 交付されている |
出す先は、どちらも、それぞれの事務所の所在地を管轄する警察署(生活安全課)です(法31条の2第1項・2項、施行規則1条)。警察署に納める手数料は、法人の開始届が3,400円、廃止届はかかる場合に1,500円です(大阪府の風営法施行条例 別表第三)。
法人の開始届が受け付けられると、法人あての届出確認書が交付されます。廃止届には確認書は交付されません(法31条の2第4項)。個人あての確認書は、法人では使えないので、個人の廃止届に添えて出します(府令12条2号)。
段取りの例
順番の一例です。日付の決め方は、営業の形や警察署の運用で変わります。
| 順番 | やること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1 | 会社を設立する | 開始届に |
| 2 | 事務所・待機所の | 届け出る |
| 3 | 法人の書類をそろえる | 定款・登記事項証明書・役員全員の |
| 4 | 法人の開始届を出す | 法人と |
| 5 | 法人と | 届出書に |
| 6 | 個人の廃止届を出す | 個人の |
個人の分と法人の分が重なる期間をどう扱うかは、法令や公表された資料では確かめられていません。開始日と廃止日の合わせ方は、提出先の警察署に確認してから決めてください。届出書には、事実と違う日付は書きません。
法人で届け出るときの書類と店名
添付書類
法人の開始届には、営業の方法を書いた書類、事務所の使用の権原を示す書類、事務所の平面図(派遣型の場合。待機所を設けるなら待機所の平面図も)に加えて、定款、登記事項証明書、役員全員の住民票の写しを添えます(添付書類を定めた内閣府令(府令)12条1号)。住民票の写しは、本籍(外国籍の方は国籍等)の記載があるものです(府令1条4号イ)。マイナンバーの記載は求められていません。
事務所の使用の権原
事務所と待機所は、届け出る法人が使う権原を示します(府令12条1号ロ)。賃貸の部屋なら、建物の登記事項証明書に加えて、賃貸借契約書の写しか貸主の使用承諾書などがいり、どちらで足りるかは契約の中身と警察署の判断で変わります。持ち主から直接借りていない部屋は、建物の登記事項証明書に加えて、持ち主から順に、あいだの貸主全員の承諾書か、すべての賃貸借契約書の写しがいります(基準 第18中7(2)→第12中13(2))。個人の名義で借りている部屋を法人が使うときは、どの書類になるかを先に貸主と相談してください。承諾書は、この届出の事務所として使うことへの承諾なので、貸主には届出のことが伝わります。
同じ店名・電話番号を続けて使うとき
使う店名(呼称)と、依頼を受ける電話番号・メールアドレス・URLなどは、法人の届出書に全部書きます(法31条の2第1項2号・6号、基準 第18中3(1)・(4))。同じ店名を続けて使う場合も同じです。営む法人が同じなら、店名や電話番号が複数あっても派遣型の届出は1つで、派遣型と通信販売型の両方を営むときは、それぞれに1つずつです。警察署から、電話番号の契約書の写しなど、追加で資料を求められることがあります。
広告と名簿
法人は、法人の開始届を出すまで、法人の営業として広告・宣伝をすることができません(法31条の2の2第2項)。また、法人が新しい営業者になるので、従業者名簿と、働く方の年齢・国籍の確認の記録も、法人として事務所に備えます(法36条・36条の2)。くわしくは従業者名簿と年齢・在留資格の確認にまとめています。
代替わり・事業の譲渡も同じです
引き継げないのは、法人成りだけではありません。営業を別の人や会社に譲る場合も、新しく営む人が開始届を出し、前の人の分は廃止届を出します(基準 第18中1(2))。営む人が亡くなってご家族が続ける場合も、ご家族が新しく開始届を出します。亡くなった方の届出確認書は、同居のご家族などが公安委員会に返す決まりです(施行規則55条2項で46条2項を準用)。手続きの細かい点は、提出先の警察署に確認してください。
届出は営む人ごとなので、前の人の届出は、新しく営む人の届出の代わりになりません。前の人の名義のまま続けると、新しく営む人は届出をしないで営業していることになり、6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又は併科の対象です(法53条5号)。実際に営む人が同じなのに、名義だけを別の人や別の会社にする届出も、事実と違う届出(法53条6号)になり得ます。
営業停止を命じられているときは
営業の全部の停止を命じられると、営む人が同じなら、別の店名や電話番号を使っても、同じ種類の営業を始めることはできません。廃止届を出しても、停止の期間中は同じです(基準 第32中4(2))。停止の期間中に会社を作るなどして名義を変え、実際には同じ人が営業を続けることは、事実と違う届出(法53条6号)になり得ます。
処分を受けている最中の方や、警察から捜査や呼び出しを受けている方は、届出の手続きより先に弁護士に相談してください。
ほかの士業の業務との分け方
法人化には、風営法の届出のほかにも手続きがあり、扱う士業が分かれています。
| 手続き | 相談先 |
|---|---|
| 会社の設立の登記 | 司法書士 |
| 法人化にともなう | 税理士か市区町村 |
| 社会保険の | 社会保険労務士 |
| 風営法の | 行政書士 |
法人の銀行口座の開設や決済サービスの利用は、それぞれの金融機関などが判断します。弊所は、法人の開始届と個人の廃止届を、あわせてお引き受けしています。
よくある質問
Q個人の届出の名義を、変更届で法人に変えられますか?
できません。この届出は、相続や会社の合併でも引き継げない決まりです(警察庁の解釈運用基準 第18中1(2))。法人で新しく開始届を出し(始める10日前まで)、個人の分は廃止届を出します(やめてから10日以内)。
Q法人の開始届と個人の廃止届は、どちらを先に出しますか?
法人の開始届は、法人として始める日の10日前までに出します。個人の廃止届は、個人の営業をやめた日から10日以内です。両方の日付の合わせ方は法令や公表された資料で確かめられていないので、提出先の警察署に確認してから段取りを組んでください。
Q同じ店名と電話番号を、法人でも使えますか?
法人の届出書に、使う店名と、依頼を受ける電話番号・メールアドレス・URLなどを全部書いて届け出ます。同じ店名を続けて使う場合も同じです。警察署から、電話番号の契約書の写しなど、追加で資料を求められることがあります。
Q個人あての届出確認書は、法人でも使えますか?
使えません。届出確認書は、届出書を出した人あてに交付されるものです(風営法31条の2第4項)。個人の確認書は廃止届に添えて出し、法人には、法人の開始届に対して新しい確認書が交付されます。
Q会社の設立や税金のことも相談できますか?
会社の設立の登記は司法書士、税金は税理士か市区町村、社会保険は社会保険労務士の業務です。弊所がお引き受けするのは、風営法の開始届・廃止届と、その書類づくりです。
届け出たあとの手続きも、
店名や電話番号・待機所の変更、事務所の移転、法人にするときの届出、営業をやめるときの廃止届まで、大阪府内の警察署に出す手続きをお引き受けします。変更届は報酬11,000円(税込)から、警察署の手数料は別です。報酬は後払いです。変更届は届出確認書をお渡ししてから、廃止届は警察署に受け付けられたことのご報告のあとにいただきます。以前に出した届出の変更や廃止のご相談もお受けします。
参考にした資料
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法・e-Gov法令検索)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)
- 警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)
- 大阪府警察 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等に基づく各種申請及び届出様式
- 大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(大阪府例規集)
記事の内容は更新日時点のものです。手続きの細かい運用は、申請先の警察署・役所で確認してください。
